ウェブマスターの本質的な役割

FinalFantasyシリーズの「赤魔道士」というジョブをご存知でしょうか。

剣術などの物理攻撃に加え、攻撃魔法も回復魔法も使えるマルチプレイヤーですが、使える魔法の上限が中級レベルであることから、器用貧乏の象徴のように言われてしまうことも。しかし、サイト運営を進める中では、赤魔道士タイプのウェブマスターは、とても貴重な存在なんです。

ウェブマスターの業務範囲はやたらと広い

改めて、ウェブマスターという職種の定義を確認しておこうと思います。
以下のサイトが、一般的かつ代表的な定義を記載していましたので、引用します。

Webマスターとは、Webサイトの管理者のこと。個人サイトでは開設者本人が、企業運営のサイトなどでは運営責任者がこれに当たる。

Webサイトの構築・開発や管理・運用、対外的な窓口について責任を持つ立場の人のことを指し、WebデザイナーやWeb開発者(デベロッパー/エンジニア)、Webサーバ管理者、および掲載内容の製作者や執筆者、編集者などを統括する役割を担う。

引用元:IT用語辞典 e-Words

ウェブマスターの業務内容、守備範囲は、そのサイトの成り立ちによって様々です。またインターネットの知識やデザイン・マーケティングの経験も人それぞれ。中にはほとんど知識も経験もないまま、ある日突然ウェブマスターに任命されてしまうこともよく聞く話です。

デザイナーやエンジニアが社内にいたり外注できるなら良いですが、予算の都合上、自分で全部やるしかないという状況のウェブマスターがとても多かったりします。

必要に迫られたウェブマスターは、自発的に知識とスキルを習得し始める

いざ実際にWebサイトの運営に携わってみると、色々な課題が山積みであることに気付きます。

  • 最終更新日が2年も前だ
  • デザインが古すぎる
  • リンクが切れている
  • 画像が表示されていない
  • お問い合わせフォームが機能していない 等々……

 

自分が担当となったからには、このままではいけない。

少しづつ周りに聞いたり自分で調べたりしながら、なんとか頑張ってサイトを更新していく中で、インターネットやマーケティング、デザインやHTML、人によってはプログラミングまで手を伸ばしたり。日々、知識や経験がどんどん増えていき、スキルはかなりのレベルまで向上していきます。

気がつくと、すでに素人とはとても言えないぐらいの知識や経験を積み重ねたあなたは、今や実践的なスキルを手に入れて、極めて有能なウェブマスターとなりつつあります。

そう、攻撃魔法に回復魔法、さらに剣術にも長けた、赤魔道士のように。
とても心強い存在になっていくのです。

スキル向上で陥る罠

一方で、なんとなくモヤモヤとした不安を抱えているかもしれません。

「結局、色々できるようになったけど、所詮は素人」

デザインやプログラミングができるなんて、とても言えない。
プロには到底及ばないって、自分が一番わかっている。
気がつけば膨大な雑務を抱えただけの、ただの器用貧乏だ。

自分は、黒魔法も白魔法も極めることができない。
赤魔道士は、大きな魔法を扱う黒魔道士や白魔道士を、遠くに眺めては決意します。

「もっとカッコいいデザインが出来るようにならなくては」
「プログラミングができるように、さらに勉強しなくては」

もっともっとスキルを上げなくては!!!!

立ち止まって目的を振り返ってみる

これは責任感があって向上心の高い人だからこそ、陥りがちな罠です。

もちろんスキルの向上は悪いことではありませんし、このようなキッカケで新しいキャリアの道が開けるのは、とても素晴らしいことだと思います。私自身、ウェブサイトの運営からスタートし、デザイナーのキャリアを重ねてきた経歴がありますから、その流れはとてもよく理解できます。

一方で、自己否定の中で疲弊しながらも、強迫観念の様に「まだまだスキルを上げなくては」と考えているウェブマスターもいます。学習のレベルがどんどん高くなって、はたから見てるとプロを目指しているのかと思えば、聞くとそんなことはない、と言います。

「別にデザイナーになりたいわけではないんです」
「ただ、サイトのデザインの質をもっと上げないと」
「だけど、これ以上業務が増えたらパンクする」

それならば。
結局、一番重要なゴールは何でしょう。
改めて考えてみませんか?

良質なWebサイトを運営したいというのが、そもそもの目的ではなかったでしょうか。

いかがですか?

サイト運営にはロードマップが必要

Webサイト運営は、フェーズによって何に注力すべきかがどんどん変わっていきます。

例えばリリース直後は、まずはコンテンツを増やし、SNSで露出を増やす、アクセスを上げる、と言うところに注力するかと思います。また最終的にどの様に収益化していくのか、どんなユーザーを集めれば良いのか。中長期的なゴールと今週実行する施策の両方に、バランスよく目を向けなくてはなりません。

サイト立ち上げから成長フェーズへ至る時期は、予算も少なく出来ることも限られています。そしていつか、サイトが成長していくにつれ、徐々に機能を追加したり、デザインリニューアルをするタイミングは必ずやってきます。その時こそきちんと予算を立てて、デザイナーやエンジニアの力を借りることになるかもしれません。このフェーズまでくると、きちんと専門家の力を加えて、本格的にチームでのサイト運営が必要になっていきます。

そして、そのフェーズに至らないうちは、コストをかける価値のある力を持ったサイトに、地道に育てていく必要があるのです。広い範囲で少しづつ施策を重ねて、バランスよく成長させていく。

例えば、コンテンツそのものが不足しているなら、まずはコンテンツの充実に力を入れる、具体的には週に2回、記事を作成して投稿する、などです。サイトのコンテンツは充実してきたが、そもそものアクセスが少ないなら、SNSでの露出に力を入れる。また、ターゲットのアクセスはありそうなのに離脱率が高い場合、第一印象のデザインに問題があるのではないか……まずはメインビジュアルを変えてみようか、というように。

そのように、仮説立て→小さく実行→検証→次のアクションを決める、とたくさんのPDCAを回すことで初めて、筋が良い施策を発見し、デザイナーにデザインワークを依頼したり、ライターに記事作成を依頼するなど、コストをかけるポイントが見えてくるように思います。

サイト全体を広い視点でみる役割

ウェブマスターには、広範囲をカバーしながらサイトを運営していく、広い視点が必要です。
狭く深くと言うよりも、広くバランス良く。全体を見ながら、必要に応じて専門家の力を借りて運営を進めていく。

Webサイトで言えば、制作側の責任者がウェブディレクター、運営側の責任者がウェブマスターと考えるとしっくりきます。マーケターやデザイナーが兼務していたりと、現場により色々なケースはありますが、ウェブマスターは全体をバランス良くグロースさせていく力が必要で、その能力は決して「器用貧乏」などではありません。

ウェブマスターに必要な能力は、PDCAを高速で回すためのあらゆる知見とスキルです。

サイト内で何が課題なのかを発見する調査・分析のスキル、広いウェブマーケティングの知識がないと、まず仮説を立てることが出来ませんし、課題解決のために何をすれば効果的なのか、次の施策を考えることが困難です。そして、ある程度のデザインやプログラミングのスキルをもっていれば、次の施策を選ぶ可能性が大きく広がります。小さく施策実行するスピードが上がり、PDCAを高速で回すことができるようになるのです。

最後に

ここまで書いておいてなんですが、私は自分自身のことを、実に中途半端なスキルしかない「器用貧乏」な赤魔道士の様だな、と自己卑下していた時期が、結構長くありました。

どんな職種もそうだと思いますが、デザイナーと言う職種はレベルが本当に幅広くて、販売や営業職を経て30才からデザイナーになった私は、美大を出て新卒から広告代理店でひたすらにキャリアを重ねてきた、キラッキラなキャリアのデザイナーに対して、コンプレックスを持つことも多かったのです。安定したレベルの魔法は使えるけれども、黒魔道士のような最高レベルの魔法は使えない、というように。

ですが、今振り返ってみると、これまで広く経験してきた様々な領域の知識や経験が、自分のビジネスを形にしていく上で、大きな力になっていると実感するのも事実です。マーケティングやセールスの経験は起業してゼロから売り上げを作る助けになりましたし、実際に問い合わせや売上といった成果につなげるデザインは自分の強みとなりました。またほとんど雑務のように感じていたありとあらゆる経験が、今ではプロジェクトを進める上での貴重なフレームワークとなっています。

その時は遠回りと感じていたこともサイトを作り運営していく中で思わぬ形で役立っており、色々な点がつながってきた、と実感しているのです。

弊社のセミナーに参加される受講生の皆さんからお話を聞く中で、自分も初心に返ってきちんと丁寧にサイトを運営したい、ゼロから自分のサイトを育ててみたい、と言う気持ちが強くなってきたと言うのが、当サイト favtips を開設したもう1つの大きな理由でもあります。

私は当サイトをウェブマスターとして運営していく中で、日々の試行錯誤から得た知見を、多くのウェブマスターの方々に共有していきたいと思っています。そうして役立つ情報提供をしていくことで、このサイトを成長させていくことを目指します。

ウェブマスターの皆様、一緒に良質なサイトを運営していきましょう!

株式会社カルミー 代表取締役 酒寄 理恵 / フリーランス、事業会社等での15年のデザイン業務を経て、2017年に株式会社カルミーを創業。多数の新規サイト構築と、事業会社でのサービスサイト運営やWeb広告業務経験により、包括的なWeb戦略のサポートが可能。多くのサイト立ち上げに携わった経験から、小規模から始められかつ将来の拡張を見据えた、実践的なWebプロモーション提案に定評あり。
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